【ベンチマーク】「GeForce GT 1030」はコスパ良好のローエンドGPU

2017年5月17日にNVIDIAが約3年ぶりにGeForce GTXの安価版にあたる「GT」の最新モデルを投入した。GPU名は「GT 1030」で、AMDがローエンド市場に投入しているRadeon RX 550に対抗する形になっています。

この記事では「GT 1030」の基本的なスペックからベンチマークスコアまで、簡単にまとめてみた。

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GeForce GT 1030の基本スペック

GT 1030RX 550
RF
GPUGP108-300Lexa PRO
プロセスルール16nm14nm
コア数384512
TMU数2432
ROP数816
ベースクロック1227 Mhz1100 Mhz
ブーストクロック1468 Mhz1183 Mhz
メモリクロック6 Gbps7 Gbps
単精度(FP32)942 GFLOPS1126 GFLOPS
メモリ容量2048 MB
メモリ規格GDDR5
メモリバス幅64-bit128-bit
メモリ帯域幅48GB /s112GB /s
インターフェイスPCI-Express 3.0 x16PCI-Express 3.0 x8
TDP30 W50 W
希望小売価格$79

どちらも同じローエンド向けモデルということで似たりよったりなスペックに仕上がっている。希望小売価格も両者ともに「79ドル」と全く同じであり、完全にGPU自体の性能やランニングコストが評価の分かれどころになりますね。

GT 1030はライバルのRX 550と比較するとコア数などは少なめになっている。その代わりにベースクロックとブーストクロックが10~20%程度高い。しかし、単精度性能(FP32)はRX 550の方が優秀な結果だ。

もう一点気になるのはTDP。GT 1030は30Wだが、RX 550は50Wと倍近い差になっていて、ランニングコストはGT 1030に軍配が上がるだろう。次は実際のパフォーマンス(ベンチマーク)を確認していく。

GeForce GT 1030のベンチマークI

「GT 1030」のパフォーマンスについて、Phoronixが徹底検証している。テストに使用した環境は以下の通りです。

ベンチマークのテスト環境 / 検証環境

テスト環境
CPUCore i7 7700K @ 4.50Ghz
M/BMSI Z270 A PRO
メモリ16GB
SSDCrucial CT525MX3 525GB
Samsung SSD 950 PRO 256GB
GPU(GT 1030)MSI GT 1030 2GH LP OC Graphic Card GDDR5 – Low-profile
GPU(RX 550)Gigabyte Radeon RX 550 D5 2GB Graphic Cards GV-RX550D5-2GD
OSUbuntu 17.04

希望小売価格が全く同じ79ドルの「RX550」との差を知りたいため、MSI製のファンレス仕様(ロープロ対応)のGT 1030と、GIGABYTE製のコンパクトボード仕様(ロープロ対応ではない)のRX550で検証を行った。

DiRT Rally

DiRT Rally (1080p 1920×1080 / Preset:Medium)
GeForce GT 1030 : 58.84 FPS 
Radeon RX 550 : 89.13 FPS 

DiRT Rallyにおける、標準画質のパフォーマンスは見ての通り。GT 1030は約60FPSで動作するが、対するRX 550は約90FPSと50%近い差を見せつけた。

Dota 2

Dota 2 (1080p 1920×1080 / Render:OpenGL)
GeForce GT 1030 : 64.77 FPS 
Radeon RX 550 : 62.47 FPS 

Dota 2(OpenGL)におけるパフォーマンスは両者ともに互角の性能。

Metro: Last Light Redux

Metro: Last Light Redux (1080p 1920×1080)
GeForce GT 1030 : 61.95 FPS 
Radeon RX 550 : 71.53 FPS 

Metro : Last Light ReduxではGT 1030が60FPS超えで、RX 550は更に70FPSまでつけている。

Serious Sam Fusion 2017

Serious Sam Fusion 2017 (1080p 1920×1080 / Quality:High)
GeForce GT 1030 : 60.53 FPS 
Radeon RX 550 : 60.87 FPS 

Serious Sam Fusion 2017の高画質設定では、ほとんど互角の60FPSという結果に。

Team Fortress 2

Team Fortress 2 (1080p 1920×1080)
GeForce GT 1030 : 166.66 FPS 
Radeon RX 550 : 154.60 FPS 

OpenGLベースのTeam Fortress 2では性能差を無視してGT 1030が逆転を果たしている。基本的には最適化の違いが原因。このタイトルにおいて、Radeon系はおおむね苦戦を強いられている傾向にある。

Tomb Raider

Tomb Raider (1080p 1920×1080 / Quality:Normal)
GeForce GT 1030 : 61.67 FPS 
Radeon RX 550 : 142.77 FPS 

フルHD画質のTomb RaiderではRX 550が見事にGT 1030を圧勝。GT 1030のコア数は384ですが、RX 550は512個ですからある意味当然の結果だと思います。

ET: Legacy v2.75

ET: Legacy v2.75 (1080p 1920×1080)
GeForce GT 1030 : 231.53 FPS 
Radeon RX 550 : 247.40 FPS 

ET:Legacyではほぼ同じパフォーマンスに。両者の差が小さい気がしますが、そもそもこのタイトルでは250~270FPSあたりが上限なため、フレームレートに大きな差が出ないのは仕方ない。

Tesseract v2014-05-12

Tesseract v2014-05-12 (1080p 1920×1080)
GeForce GT 1030 : 178.96 FPS 
Radeon RX 550 : 187.89 FPS 

オープンソースのソフトウェアで行った検証です。ほぼ同じパフォーマンスになっている。

GeForce GT 1030のベンチマークII

更に、メジャーなタイトルでGT 1030がどれほどのパフォーマンスを叩き出せるか、徹底的な検証ををドイツのComputer Baseが行っている。こちらも参考にしてみます。

ベンチマークのテスト環境 / 検証環境

テスト環境
CPUCore i5 7500
Ryzen 5 1500X
GPU(GT 1030)Gainward GeForce GT 1030 SilentFX
GPU(RX 550)Sapphire Radeon RX 550 Pulse
OSWindows 10

2つのCPUを使って検証している。「Core i5 7500」「Ryzen 5 1500X」はどちらも200ドル台のCPUです。「GT 1030」にはGainward製のファンレスモデルが使われ、「RX 550」にはロープロ対応のOCモデルが使用された。

Battlefield 1

Battlefield 1 (1080p 1920×1080 / Preset:Medium / CPU:Ryzen 5 1500X)
GeForce GT 1030 : 38.40 FPS 
Radeon RX 550 : 44.3 FPS 

さすがに健闘するRX 550といったところ。Battlefield 1はDirectX12環境ということもあって、もともとDX12を得意とするPolaris世代のRX 550にはうってつけのタイトルです。

Cities: Skylines

Cities: Skylines (1080p 1920×1080 / Preset:Medium / CPU:Ryzen 5 1500X)
GeForce GT 1030 : 35.50 FPS 
Radeon RX 550 : 42.80 FPS 

Cities:Skylinesにおいても、RX 550が順調に高いパフォーマンスを記録。きちんとスペック表どおりの性能になっていて安心。

Counter-Strike: GO

Counter-Strike: GO (4K 3840×2160 / Preset:Medium / CPU:Ryzen 5 1500X)
GeForce GT 1030 : 58.4 FPS 
Radeon RX 550 : 58.4 FPS 

DirectX9環境のCounter-Strike:GOでは、ほとんど差が出ない結果になった。

League of Legends

League of Legends (4K 3840×2160 / Preset:Maximum / CPU:Core i5 7500)
GeForce GT 1030 : 68.8 FPS 
Radeon RX 550 : 84.9 FPS 

4K画質、最高設定で検証。どちらも100ドル以下のローエンドGPUだが、かなり優秀なパフォーマンス。GT 1030ですら60FPSを突破し、RX 550は80FPS超えに達した。

Overwatch

Overwatch (1080p 1920×1080 / Preset:Ultra / CPU:Core i5 7500)
GeForce GT 1030 : 35.5 FPS 
Radeon RX 550 : 40.2 FPS 

Overwatchでも順調にRX 550がGT 1030よりも優秀な結果。

The Witcher 3

The Witcher 3 (1080p 1920×1080 / Preset:Low / CPU:Core i5 7500)
GeForce GT 1030 : 35.0 FPS 
Radeon RX 550 : 36.3 FPS 

DX11環境のWitcher 3では、ほとんど差がでなかった。RX 550にかぎらず、他のRX 460などでも同スペック帯のGTX系に負けていたりするので、おそらくは最適化の問題だろう。

World of Tanks

World of Tanks (1080p 1920×1080 / Preset:High / CPU:Core i5 7500)
GeForce GT 1030 : 42.2 FPS 
Radeon RX 550 : 41.6 FPS 

WoTでもRX 550は上手くパフォーマンスを発揮できず、GT 1030が肉薄する結果に。搭載されているコア数うんぬんの前に、ブースト時のクロック周波数でGT 1030は上手くパフォーマンスを発揮している傾向にある。

World of Warcraft

World of Warcraft (1080p 1920×1080 / Preset:Quality LV8 / CPU:Core i5 7500)
GeForce GT 1030 : 46.9 FPS 
Radeon RX 550 : 46.7 FPS 

WoWでもほぼ同様に結果に。RX 550のブーストクロックは約1200Mhz程度だが、対するGT 1030は1468Mhzもある。タイトルによってはGT 1030はRX 550に対して上手く立ち回れそうだ。

平均フレームレート

平均フレームレート (CPU:Core i5 7500)
GeForce GT 1030 : 57.0 FPS 
Radeon RX 550 : 61.4 FPS 
平均フレームレート (CPU:Ryzen 5 1500X)
GeForce GT 1030 : 59.9 FPS 
Radeon RX 550 : 62.8 FPS 

検証を行ったタイトル全体から見た、フレームレートの平均値を見てみる。こういった平均値で見ると、思った以上にGT 1030とRX 550の間に大きな差が見られないことが分かった。

GT 1030 VS RX 550の傾向

理論性能(FP32)はRX 550の方が優秀なはずですが、実際の動作を見てみるとタイトルによって理論性能通りの差をつけたり、なぜかGT 1030に負けてしまったりと、少しばらつきが見られた。

  • 基本的にはRX 550の方がパフォーマンスは高い
  • タイトルによってはGT 1030の方が優秀、あるいは同等
  • 思った以上にGT 1030は健闘した結果になった

NVIDIA GT 1030まとめ

「GT 1030」「RX 550」は両者ともにローエンドで争うGPUで、希望小売価格も79ドルと全く同じ。よって評価の基準は純粋に「性能」や「ランニングコスト」しか無いと最初にも言った。

パフォーマンスはここまで見ての通りで、基本的にはRX 550の方が優秀ということ。性能という観点から見れば、明らかにコストパフォーマンスはRX 550の方が優れているのは間違いない。

しかし、もう一つ考慮するべき点がランニングコストだろう。TDPがRX 550は50Wなのに対して、GT 1030は30Wと40%も低い。平均動作FPSから見れば、ランニングコストはGT 1030に軍配が上がる。

  • 性能から見れば「Radeon RX 550」の方が優秀
  • TDPの差と性能差を考えると「GT 1030」の方がランニングコストは安価
  • 1万円以下のローエンドGPUでは「Radeon RX 550」が現状は最高性能
  • 1万円以下のローエンドGPUにおいて「GT 1030」はランニングコスト最安

1万円以下で最高性能を手にしたい、という人なら無理にGT 1030を選ばずにRadeon RX 550を選びましょう。逆にランニングコストも重視したい、という人ならこの「GT 1030」がローエンドGPUにおける最適解になります。

なお、1万以下のローエンドGPUにおいて「GT 1030」と対峙した「RX 550」のレビューは上記の記事からどうぞ。価格を考えれば中々優秀です。

50Wと30W、ランニングコストの違い

「うーん、たしかにGT 1030の消費電力の低さが魅力的だが、相手のRX 550って実際のところどうなんだろう。」と思う人もいるはず。性能はRX 550が上位なんだから、どうせならRX 550を買いたいと思うのが人間だからね。

コスパに逆らえないわけです。そこで簡単に計算してみました。

  • Radeon RX 550 – 50W : 288円(年間1382円割高)
  • GeForce GT 1030 – 30W : 172.8円(年間1382円節約)

1kWh単価を24円、月間240時間パソコンを稼働させるという計算でシミュレーション。GT 1030を選ぶことで1年あたり1000円は節約できそうです。ぼくなら、たかが年間1000円のためにRX 550を捨てる気になれませんね…。

というわけで、その「RX 550」に関しても調べたので以下の記事からどうぞ。

GT 1030搭載グラフィックボード

Palit NE5103000646-1080F

NE5103000646-1080F

Palit社製のGT 1030搭載グラフィックボード。価格は税抜きで8750円と、とても安価。当然のことながらロープロファイル対応です。端子はDVI-DとHDMIが1つずつ。

 

MSI GT1030 2G LP OC

GT1030 2G LP OC

MSI社製のGT 1030搭載ボード。OCと書かれており通り、コアクロックが1227Mhzから1265Mhz(約3%)ほどオーバークロックされている。端子はHDMIとDisplayPortが1つずつ。DVIは無いので注意。ロープロファイル対応。

MSI GT1030 AERO ITX 2G OC

GT1030 AERO ITX 2G OC

同じくMSI社製のGT 1030搭載ボード。ボート長が12mm短くなっているのが特徴。コアクロックは3%ほどオーバークロックされたOCモデル。端子はDVI-DとHDMIがひとつずつ。見ての通り、ロープロファイル非対応なので要注意。

GIGABYTE GV-N1030D5-2GL

GV-N1030D5-2GL

GIGABYTE社製のOCモデル。ロープロファイル対応で、端子はHDMIとDVI-Dが1つずつ。クロックは約3%程度オーバークロックされている。

 

あとがき

GT 1030の登場は個人的に嬉しい。1万円以上のGPUに関しては順調の性能が更新され、コスパも向上していくのに対して、1万円以下のGPUはGT 730やHD 6450以外にめぼしい製品が無い状態が続いていた。

そこでようやく現れたのがGT 1030。GT 730と比較して価格は3割ほど高いが、性能は軽く3倍以上に跳ね上がっているため、1万円以下のローエンドGPUではトップクラスだ。

その一方で、ライバルの「RX 550」が中々に強力なため、GT 1030とRX 550の綱引きが展開されそうではある。以上、「GeForce GT 1030」はコスパ良好のローエンドGPU…という話でした。

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